恐ろしい存在として語られてきた鬼が、たった一人にだけ見せる情の深さ。
鬼との恋は、人とは違う長い時を生きる者の一途さと、異なる世界に生きる二人が歩み寄る切なさが魅力です。
前世からの因縁をたどる輪廻転生もの、あやかしの宿や結婚式場を舞台にした温かな物語、鬼を祀る村の因習に迫る怪奇ロマンスまで、和の情緒たっぷりの作品が揃っています。
こんな人におすすめ
- 人ならざる者の一途な愛にときめきたい方
- 前世や千年の因縁が絡む、時を越えた恋が好きな方
- あやかしや陰陽師が登場する和風ファンタジーを楽しみたい方
時を越えて巡り合う、鬼神と古の鬼
ちとせの戀に巡る月 (杉原朱紀)
ポイント 千年を生きる古の鬼が、愛した人の生まれ変わりと出会う輪廻転生もの
昼は人間に日本茶を、夜はあやかしに薬を商いながら、ある悲願のために永い時を生きてきた古の鬼・葵。ある晩、彼は忘れようのない瞳を持つ青年・木周友哉と出会う。遠い昔の京の都で、鬼である葵を恐れず慈しんでくれた愛しい男――その生まれ変わりだった。しかし過去の因縁を知らない友哉は祓い屋の力を持ち、葵に敵意を向けてきて……。千年の時をかけた贖罪と恋を描く、和風あやかしの輪廻転生ファンタジーです。
基本情報
| 著者 | 杉原朱紀 |
|---|---|
| 発売日 | 2019/12/18 |
| ページ数 | 350ページ |
| 評価 | 4.2 |
| スコア | 82 |
口コミ
- 愛した人の魂を刀の呪いから救うため、千年ものあいだ見守り続けてきた葵の一途さに泣かされたという声が多くありました。絵巻物のように丁寧に作られた物語だと評判です。
- 葵に仕える銀狼のあやかし・弓月の忠義ぶりが愛おしいと好評で、友哉との犬猿の仲のようなやりとりも楽しいという感想があります。茶屋と薬屋を舞台に猫又や天狗が出てくる世界観が魅力的だという声もありました。
- 名前に込められた言葉の仕掛けなど、細かく作り込まれた設定に感心したという意見も寄せられています。
- 過去の回想や周辺の描写が多く、現代の二人のやりとりが少ないため、恋に落ちる過程に説得力が足りないという意見がありました。
- 前世の相手が葵ではなく姉を選んだことにもやもやした、説明が長く設定が複雑で読むのに時間がかかったと感じた人もいます。
巡り愛鬼神譚 (高塔望生)
ポイント 天界を追われた鬼神と古美術店の店主、骨董が結ぶ時を越えた恋
古美術店を営む杳宮渚は、競り市で見かけた青銅の水盤にどうしようもなく心を奪われ、とんでもない値で落札してしまう。売り先に困る渚の前に現れたのは、素性の知れない資産家・鬼燈。その正体は、罪を問われて天界を追われた鬼神だった。八百年ものあいだ天界と人界の狭間で、失われた宝物や逃亡者を追い続けてきた彼にとって、渚の水盤こそ長く探し求めていた宝水鑑で……。時を越えて巡り合う恋を描く和風ファンタジーBLです。
基本情報
| 著者 | 高塔望生 |
|---|---|
| 発売日 | 2019/11/01 |
| ページ数 | 254ページ |
| 評価 | 3.7 |
| スコア | 76 |
口コミ
- 骨董品やお茶会、神社を訪ねる場面などがよく調べて描かれていて、お仕事ものとしても面白いと評判です。軽すぎず重すぎない文章で世界観に浸れたという声がありました。
- 身分違いで引き離された二人の八百年越しの恋が切ないと好評です。鬼燈の親友の玄月や、しもべたちなど脇役も魅力的だという声が多くありました。
- 小山田あみさんのイラストが眼福で、とくに鬼燈が鬼神となって戦う姿がかっこいいと評判です。
- 中盤まで淡々と進み、終盤が駆け足で、黒幕との決着も伝聞で済まされたのが残念だという声が多くありました。
- 受けの前世が明らかになったあと、渚として生きてきた心が上書きされてしまったようでモヤモヤしたという意見もあります。
鬼神様はパフェの虜につき (久我有加)
ポイント 千年前の恨みを晴らしに現れた甘党の鬼神が、カフェのパフェのとりこに
甘いもの好きを隠している慶太にとって、カフェのアルバイトはスイーツに触れられる大切な時間。ところが新作パフェの試作中、突然鬼神・桔梗丸が現れ、恨みを晴らしてやると迫ってきます。千年前に主を裏切った鈴鹿御前に、慶太がそっくりだというのです。聞く耳を持たない桔梗丸は慶太を見張るためにカフェへ通い始めますが、いつしか彼のパフェのとりこになって……。甘党の鬼神とスイーツ男子の人外ラブファンタジーです。
基本情報
| 著者 | 久我有加 |
|---|---|
| 発売日 | 2018/08/01 |
| ページ数 | 211ページ |
| 評価 | 4.1 |
| スコア | 80 |
口コミ
- 桔梗丸にパフェを絶賛されたことで、隠していた好みを恥じなくていいと慶太の心がほどけていく過程がよかったという声がありました。
- 鈴鹿御前の伝説や宝剣をめぐる争いも絡み、わかりやすく気軽に読めると評判です。後半は話がするすると進んで読みやすかったという意見もあります。
- 殺気立っていた鬼神がパフェで落ち着くなど、前半がゆるく、つっこみどころが多いという声がありました。
式神の名は、鬼 (夜光花)
ポイント 数百年封じられていた最強の鬼を、陰陽師が式神にしようとするシリーズ第1巻
満月の夜ごとに百鬼夜行が押し寄せ、妖怪たちに身を狙われる陰陽師の櫂。八百比丘尼の血を引くという彼の体は、妖怪にとってこの上ないごちそうなのです。果てしない災難を断ち切るため、櫂が目を付けたのは、数百年ものあいだ封じられていた最強の人喰い鬼・羅刹でした。封印を解くかわりに式神として妖怪除けにするはずが、羅刹は思うように従ってくれず……。夜光花さんが贈る、鬼と陰陽師の和風ファンタジー・シリーズ第1巻です。
基本情報
| 著者 | 夜光花 |
|---|---|
| 発売日 | 2019/06/01 |
| ページ数 | 257ページ |
| 評価 | 4.5 |
| スコア | 87 |
口コミ
- 美しい見た目に反して、料理が下手でお金にうるさく、さっぱりした性格の櫂が新鮮だと好評です。逆境でも悲観せず、できることは何でもやる姿勢に好感が持てるという声が多くありました。
- 凶暴なはずの羅刹が鰻を持ってきたり、少しずつ櫂にほだされていったりする様子が可愛いと評判です。コミカルな掛け合いとホラーめいた場面の緩急が楽しいという感想もあります。
- 伊織や八百比丘尼をめぐる伏線が次々に張られ、先が読めない面白さで続きが気になるという声が多くありました。
- 一冊で完結すると思って買ったらシリーズものだった、謎が残されたまま次巻へ続くので注意という意見がありました。
- 恋愛の甘さはまだ控えめで、キャラクターの性格が一貫せず気持ちが入らなかったという声もあります。
鬼に嫁ぐ、鬼の一族と結ばれる
宵闇お宿の鬼の主のお嫁様 (杉原朱紀)
ポイント 現世と幽世のはざまに建つ宿を舞台に、すれ違いなしで描くあやかしもの
人ならざるものが見えるせいで周りから避けられて育った凪。たったひとりの味方だった祖母を亡くし、行く先も見えずにいたある日、なじみの子狐たちに導かれてたどり着いたのは、現世と幽世のはざまに建つ宿屋《ゆわい》だった。その主である鬼の時雨は、かつて凪の命を救った存在だという。いきなり伴侶にと求められて戸惑う凪だったが、時雨はひたすら彼を甘やかすばかりで……。あやかしの宿を舞台にした和風ファンタジーです。
基本情報
| 著者 | 杉原朱紀 |
|---|---|
| 発売日 | 2023/07/19 |
| ページ数 | 315ページ |
| 評価 | 4.1 |
| スコア | 80 |
口コミ
- 素直でかわいい凪と、最初から一途な時雨の温かい関係が好評です。当て馬や勘違いのすれ違いがなく、安心して読めるという声がありました。
- 自分を顧みなかった凪が、時雨の愛情を受けて生きることに前向きになっていく過程が良かったという声が多くありました。時雨の友人の妖狐や前の宿の主人など、脇役も魅力的だと評判です。
あやかし婚、承ります 鬼と桜の恋結び (市川紗弓)
ポイント あやかし専用の結婚式場で、鬼の一族の幼なじみと再会するお仕事もの
勤め先のホテルで新しいブライダル事業に抜擢されたウェディングプランナーの真咲。ところが赴任先は、なんと“あやかし専用の結婚式場”だった。しかも責任者は、昔こっぴどく振られた幼なじみの世威。鬼の一族である彼に頼まれ、式場の復興に手を貸すことになった真咲だが、世威には好きな人とキスをすると相手が死ぬという呪いがかかっていて……。あやかしウェディングラブです。
基本情報
| 著者 | 市川紗弓 |
|---|---|
| 発売日 | 2018/03/01 |
| ページ数 | 237ページ |
| 評価 | 4.2 |
| スコア | 81 |
口コミ
- 恋愛以外の部分も描写が巧く、呪いの元凶や宝刀、風千代の謎を解いていく展開が面白かったという声がありました。
- 想いを伝えられない世威と、振られたと思い込んでいる真咲のすれ違いが切ないと好評です。男前な受けやキャラの立ったサブキャラクターも魅力的だと評判です。
- 攻めの影がやや薄い、文章が少し硬い、イラストが好みに合わなかったという意見がありました。
鬼天狗の嫁奪り奇譚 (鳥舟あや)
ポイント 鬼天狗の棲む島を舞台に、独特の文体と世界観で描く和風ファンタジー
年の離れた兄ヤスチカと二人で暮らすトヨアキは、ある夜の釣りの最中に、不思議な島へさらわれてしまう。そこは鬼天狗たちが棲む聖なる地。兄はすでに一人の鬼天狗のもとへ嫁いでいて、トヨアキもまた嫁候補にされていた。無愛想で少し怖いミタテと、美しく気の強いスイ。どちらかを選ばなければ島からは出られないと告げられ……。独特の世界観で描く和風ファンタジーです。
基本情報
| 著者 | 鳥舟あや |
|---|---|
| 発売日 | 2017/01/01 |
| ページ数 | 318ページ |
| 評価 | 3.8 |
| スコア | 77 |
口コミ
- 無愛想ながら主人公を包み込むミタテが格好よく、作者の作品のなかでも甘さは群を抜いているという声がありました。
- ダークさを含んだ鬼天狗の島の世界観がよいという声があります。最初は戸惑った主人公がだんだんかわいく見えてくる、表紙や挿絵が美しいという意見もあります。
- 台詞の後に心情が続く独特の文体で、誰の視点かわかりにくく読みづらいという意見が多くありました。
- 設定や人物関係を詰め込みすぎて回収しきれていない、主人公の間延びした口調が苦手だという声もあります。
鬼の戀 (丸木文華)
ポイント 鬼を祀る山奥の村を舞台にした、戦後の因習ものの怪奇ロマンス
終戦から二年。天涯孤独となった萌のもとに、亡き母の実家から迎えが来る。父の遺言はその家に行くなと告げ、心の中にいる「兄さま」も反対したが、萌は寂しさと好奇心から、鬼を祀るという山奥の村へ向かう。村人たちに手厚く迎えられる萌に、当主の宗一だけは冷たく「帰れ」と言い放つ。やがて村の儀式の準備が着々と進み、萌は逃れられない因習の渦に絡め取られていき……。運命に抗う鬼の純愛を描く和風の怪奇ロマンスです。
基本情報
| 著者 | 丸木文華 |
|---|---|
| 発売日 | 2014/08/01 |
| ページ数 | 296ページ |
| 評価 | 4.1 |
| スコア | 81 |
口コミ
- 鬼を祀る閉ざされた村、不気味な親族や村人、呪いの正体まで世界観が作り込まれていて圧巻だという声が多くありました。「八つ墓村」や「犬神家の一族」を思わせる因習ものとして楽しめると評判です。
- レトロな言葉遣いや方言、細やかな風景描写で、まるで邦画を観ているようだと好評です。終盤の伏線回収が気持ちよく、イラストも美しいと喜ばれています。
- 設定が盛りだくさんで人間関係が込み入っており、序盤は説明が多くて読むのが大変だったという声がありました。
- 二人の気持ちの動きがあっさりしている、重く暗い話で読後感がよくない、結末が唐突に感じたという意見もあります。
選ぶときのコツ
鬼との恋は、作り込まれた世界観が好評な一方で、設定の説明や独特の文体に慣れるまで時間がかかるという声もあります。
気軽に読みたい方は感想で「安心して読める」「温かい」という声がある作品を、じっくり浸りたい方は「世界観」「圧巻」という声がある作品を選ぶのがおすすめです。
人喰い鬼は色に狂う (沙野風結子)
ポイント 冷酷な人喰い鬼が、手に入れた生贄の青年に狂おしいほど執着する異類婚姻譚
人を喰らう鬼「ヒトクイオニ」が跋扈する平安京。若き天才陰陽師・桔晶は鬼を狩るかたわら、鬼の血を継ぐ帝のそばで、その本能を鎮めるという秘された務めを負っていた。夜ごと内裏へ向かう桔晶を、昏いまなざしで見送る幼なじみの陰陽師・征景。互いに相手には知られたくない秘密を抱えたまま、二人の心はすれ違っていき……。陰陽師と鬼の攻防を描く、平安ダークファンタジーです。
基本情報
| 著者 | 沙野風結子 |
|---|---|
| 発売日 | 2018/06/27 |
| ページ数 | 251ページ |
| 評価 | 4.5 |
| スコア | 86 |
口コミ
- 平安の都を舞台にした重厚な世界観と、鬼との戦いの迫力に引き込まれ一気に読んだという声が多くありました。格調のある文章が好評です。
- 桔晶と征景の両片思いが両方の視点から描かれ、すれ違いの切なさが良かったと評判です。人徳ある帝をはじめ脇役も魅力的で、帝のスピンオフを望む声も目立ちます。
- 葛西リカコさんのイラストが作品の雰囲気にぴったりだという声があります。
- 流血や残酷な場面が多く、苦手な人は注意という意見があります。
- ヒトクイオニの設定がわかりにくい、帝のその後が描かれず尻切れに感じたという声もあります。
鬼の子いとしや桃の恋 (野原滋)
ポイント 鬼の血を引く若者と、彼を包み込む優しい愛を描いた和風純愛ファンタジー
鬼退治の家系として知られる西園家には、一族の男子が経験しなければならない「鬼鎮め」の儀式があった。夏休みに瀬戸内の本家へ呼びつけられた光洋は、今どきそんな因習に意味はないと、鬼を封じたとされる無人島へ軽い気持ちで渡る。ところがそこで出会ったのは、仲間の帰りを信じてたった一人で待ち続けてきた本物の鬼・しづるで……。一族の秘密と長い孤独が交わる、切なくて優しい人外ラブです。
基本情報
| 著者 | 野原滋 |
|---|---|
| 発売日 | 2020/05/20 |
| ページ数 | 222ページ |
| 評価 | 4.6 |
| スコア | 87 |
口コミ
- 明るい表紙から想像するよりずっと切なく、何度も泣いたという声が非常に多くありました。「泣いた赤鬼」を思い出したという感想も目立ちます。
- 人を疑うことを知らず、桃が大好きなしづるの健気さが好評です。鬼の設定にひねりがあり、光洋の罪悪感が慕わしさへ変わっていく流れが自然だと評判です。
- 頼れる従兄の存在や、光洋がしづるの爪を切る微笑ましい場面が良かったという声もあります。
- 鬼を騙してきた人間側の業が重く、しづるが幸せになってもめでたしとは思いきれないという意見があります。
- 美貌という設定に対してイラストのイメージが合わない、戸籍など細部が気になったという声もありました。
あわせて読みたい
あやかしや陰陽師が登場する物語は和風・大正ロマン特集、竜や神獣など鬼以外の人外との恋は人外との恋特集にもまとめています。
